ロードバイクをやっていれば一度は見聞きする伊豆半島一周ライド”伊豆イチ”
3月20日。2度目の伊豆イチに挑戦してきました。1度目はグループライドで写真やグルメを楽しみながらでしたが、今回はソロ&さらに峠を追加したよりハードモードで挑戦です。
距離260km、獲得標高4,411mのロングライドです。
ルート

熱海駅発着、時計回りに伊豆半島を一周後、三島から箱根峠&大観山を越えるルートです
一口に伊豆イチといってもバリエーションが色々あります。国や県が作ったコースやサイクルボール等が作ったルートでそれぞれ異なりますが、基本的には太平洋自転車道を利用して伊豆半島を一周するものです。
今回作成したルートも太平洋自転車道で伊豆半島を回りますが、それに加えてわざわざ箱根峠を経由しているのでより難易度が高くなっています。

最後の箱根峠・大観山のラスボス的佇まいがヤバイ・・・。ただしこれを抜いても伊豆半島のアップダウンで獲得標高2800~3000mくらいあったと思います。
基本的に伊豆イチはアップダウンの繰り返しですが、南伊豆あたりから沼津に入るまでは比較的起伏がより激しいです。救いは所謂激坂が少なく概ね6~8%あたりの坂であるところでしょうか。
発着の熱海駅を想定してます。比較的気温が高いので深夜スタートでも凍えにくく、東京や埼玉へ乗り換え不要で輪行することができて利便性が高いです。駅前は充実しており、荷物を預けるロッカー数も多いですね。
ルートファイル配布
作成した伊豆イチルートを配布します(.fit形式)。良かったら使ってください。
RideWithGPSで作成しているのでトンネルの標高が考慮されておらず、予想獲得標高が5500mくらいになっていますが、実測値は4400m前後になるはずです。
事前準備
筆者の走力
伊豆イチ当時のデータ
体重63.5kg、FTP235W、PWR 3.7w/kg ほど
伊豆イチ経験は過去に一回4人グループでありました。
装備
伊豆エリアにおけるこの日の天気予報は18~7℃と大変寒暖差が激しく服装に悩みました。
夜間から明け方で7℃を下回ると完全に冬の気温です。一方で18℃は春夏ジャージでないと登りは暑くてやってられないレベルです。
スタート時点で8℃くらいの予報だったので、着替えられるよう冬用のジャージなどもリュックに詰め込み、現地で服装を決定することにしました。使用しない装備類はリュックごと熱海駅のロッカーに預けてしまい余分なペイロードは持ちません。
チューブレスレディタイヤで、パンク対応にチューブ×1とCo2ボンベは2本持ちでした。
服装
結局夏ビブ・夏ジャージの上に春秋用の長袖ジャージ+ダウンベスト+ウィンドブレーカー+冬用グローブという格好です。脚は剥き出し。
気温が上がるに連れてレイヤリング調整します。
必須・おすすめの装備
フロントライト
VOLT800レベルの高水準なライトが必須です。
伊豆は主要道であっても街頭一つない暗黒の道路がかなりあります。ランタイムだけでなく照度も意識しないと安心して走れないです。
僕はVOLT800に予備のバッテリーも一本持っていきました。リアライトはトンネルも多いので日中も利用できるランタイムの長いものがおすすめです。
大型サドルバッグ
ロングライドでは大体必須。脱いだ防寒着や入り切らない食料、そしてお土産を詰め込みます。
リュックでも代用は効きますが伊豆イチのような超ロングだと肩や背中への負担が多く勧められません。
僕はORTLIEBサドルバッグのLサイズを愛用してます。
再起反射ベスト
深夜とはいえ車もトラックも走っているので必須です。伊豆の主要道は道幅が十分に広くないところも少なくなく、時間帯的にもドライバーが油断しやすいので必ず装備しましょう。
調光サングラス
夜間から日中~夕方まで走り倒すのでぜひおすすめです。メーカーによってはレンズ付け替え式でサングラスやクリアレンズがセットになっているものもあるので、付け替えることで対応もできますが持ち運びや取り換えが中々に手間で不便です。
僕の場合はJAWBREAKERに調光レンズを追加購入して使用してます。
走行記録
輪行で熱海駅よりスタート
終電で熱海駅に到着。時刻深夜12時45分。
輪行解除後、不要な荷物類を駅のコインロッカーに預けます。
駅前のコンビニで補給を済ませて1時30分にスタート
熱海〜伊東

道路幅が十分広くない区間も少なくないが物流や観光の車が多いため夜間のうちに抜けてしまうのがおすすめです。
この日は月が出ておらず、街頭一つない道に出ると本当に真っ暗です。後ろを向くと暗黒でゾッとします。
左手には真っ暗な海が一面に広がっており、強い波の音だけは聞こえてきますが暗くてその様子はよく見えません。
その代わり、ちょっと空を見上げると満天の星空が広がってます。ソロで心細さや恐怖心を覚える中唯一の救いでした。。。
伊東〜下田
熱川温泉でのコンビニで初休憩。ここまでで大体50km程度。平均時速21km程度で2時間と少々のペースです。
海沿いですが寒い。。。Garminの気温計は8〜7℃をうろうろしてます。上半身はダウンベストも着込んでいるので大丈夫なのですが、下半身は夏ビブなので脚がむき出しで爪先は悴んでます。トゥーカバーやレッグカバーがあれば良かったなぁ

下田市。自分にしてはいいペースでここまでこれてます。時期も違いますが初めて挑戦した際には熱川温泉辺りで既に夜明けだったと思います。
ペースは大体L2〜L3強度程度です。登りでもFTPを上回らないようにしてます。かと言って強度を下げすぎると今度は寒くなってしまうので難しいところです。

夜空が白んでくると何だか感動します。寒くて真っ暗闇の中、孤独感を感じながら走り続けて張り詰めていた緊張感が解されていくような感じ

白浜大浜海水浴場。休憩が必要な程走ってませんが柔らかい砂浜で休憩しつつ朝焼けを眺めてました。日の出は5時45分頃です。マジックアワーが素晴らしい。
下田〜雲見海岸

日の出を左手に拝みながら先に進みます。ナイトライドの醍醐味ですね。
明け方の気温は最も低いです。伊豆半島といえど少しでも内陸側に進むと急激に気温が下がる事を知りませんでした。
下田から由比ヶ浜に至るまでは最低で4.5℃まで冷え込みめちゃ寒い。
コンビニに逃げ込み補給しつつ太陽を待ちました。振り返るとこの辺りは不必要な休憩が多かったですね。
伊豆イチのようなロングライドは休憩を挟むほど時間が失われるし終盤の疲れが強まる気がします。事前に休憩する場所を決めておき、必要最小限に留めたほうがベターだと思います。
弓ヶ浜から雲見海岸辺りまでは文明が栄えておらず自販機も含め補給がほとんどできないので注意

愛逢岬。高台に徒歩で登ると更に素晴らしい景色が広がります。伊豆半島西側です。アップダウンがキツくなっていきます。
走っててとても気持ち良いエリアなのですが冬季は見の危険を感じるほどの強風が吹くことが多いようです。

雲見海岸。運が良ければこんな感じに富士山を望めます。伊豆の海の綺麗さもこの辺りから際立って見えます。

伊豆はただ走り抜けるには勿体なすぎる。
素晴らしい景色を見て、美味しい物を食べて登り坂で死ぬべき。
海岸を横目に、偶に富士山を臨みながらアップダウンをこなします。すっかり日が高く日差しがキツイので春先でも日焼けします。夏は無理です。
雲見海岸〜沼津

恋人岬。西伊豆の有名な観光スポット。
名前の通りのスポットなので独り身には沁みる場所なんですけど、売店でご当地スイーツや猫ちゃんと触れ合えます。サイクルラックあり。

ご当地ブルーベリーシェイクの鹿肉の肉まん。
どちらも美味しい!他にも珍しい味のアイス等があったので食べてみたいなー。

キャーネコチャンカワイイー!

戸田に到着。時刻は11時半くらい。
伊豆に来たときはよくここでご飯を食べてます。戸田は深海魚漁が盛んで、内陸では食べることができないご飯が食べられるからです。美食を求めるならここが一番かな。
最も有名なのは「タカアシガニ」。
超大型なのでタラバのように大味かと思いきや信じられないくらいの濃厚な味とギッシリの身に感動します。
お値段は一人頭6,000円位〜なので覚悟がいりますがカニ好きなら絶対に後悔しないです。

タカアシガニはもう3回食べてるので今回は深海魚丼を食べてみようとこちらのお店へ。
深海魚天丼や深海魚の刺身などが食べられるお店の一つです。大変残念ながらこの日は深海魚が不漁で肝心の深海魚にありつくことが出来ず普通の天丼を選んだのですが、めちゃ美味しいお店でした。

ただこの時点で160km走ってるのに天丼のチョイスは良くなかったです。内臓が弱ってるので胃もたれでしばらく軽い吐き気がありました(笑)
ロングライド後半は脂肪分多めの食事は控えるべきでしたね🥲
戸田の街を抜けるとすぐ結構な登りが始まり、また沼津までアップダウンが続きます。

沼津市。今やラブライブの聖地として有名なこの地は公共交通機関や店先所狭しとキャラクターのイラストで溢れています。
ちなみに戸田から沼津に至る道は柑橘類の生産が盛んらしいのか激安でみかんを無人販売してます。過去に買って食べたんですけど美味かった。お土産に良いかもですね。

松月でもみかんにフィーチャーした食べ物は色々あって、みかんどら焼きもその一つ。花丸どら焼きも買いました。個人的には酸味のより強い花丸ちゃんどら焼きの方が食べやすくて好きでした。

沼津まで来てしまえば伊豆半島は事実上の制覇です。あとは横断して出発地に戻るだけ。ラスボスの箱根峠と大観山を超えるだけです。。。
箱根峠〜大観山〜熱海

箱根峠は一号線を走ることになるので交通量が多いです。夕方から箱根方面への交通量は減っていきますがトラック等も走ります。
箱根峠登攀中はコンビニ等無いので手前のコンビニ(ローソンニュー箱根店がラスト)に補給する必要あり。
この頃にはすっかり弱って食欲もないと思いますがゼリー飲料等で糖質は摂取しておかないと登れないので無理してでも。
約14kmの登りで、登り切るには1時間前後を見込みます。標高と共に気温がぐんぐん下がっていきます。この季節の箱根峠は夕方で10℃程です。
箱根峠を登り終えたら道の駅「箱根峠」で小休憩を挟んで大観山を登ります。寒いと思うので長居しないほうが良いです。

大観山へ至る芦ノ湖側からの椿ラインは約5kmで270mUPで難しい登りでは無いはずなのですがここまでに約200km、4000nUPして満身創痍なので長く辛く感じることでしょう。頑張って。

ついに登りきった大観山。
夕日に照らされる芦ノ湖と富士山が美しい…!普段の何倍も夕焼けが美しく感じられました。
しばらく眺めてましたが、冷たい風で体が冷えてしまう前に防寒着を着て椿ラインを熱海方面に下ります。この時気温は5℃くらい。
かなり寒いのですが、体力も限界ですが長くスピードの出るダウンヒルになるので安全重視で下ってください。。。
ゴール:熱海駅着

下り切ったら約7km、ほんのちょっとのアップダウンをクリアすれば熱海駅に辿り着きます!
椿ラインを下り切る頃には日も暮れて熱海駅に着いたのは夜7時半頃。約17時間半の長旅でした。
出発時に抱いていた不安や緊張はスッカリどこかに消えて、冒険をやり遂げた達成感とホッとした気持ち、そして尋常でない疲労感で一杯でした。
熱海駅周辺で何か美味しいものを食べてから帰ろうかとも思ったんですが、気持ち的に十分満足してしまったのでコンビニでプロテインとおにぎり買って帰りましたとさ…💨
総括

距離260km、獲得標高4,411m
移動時間:12時間7分、 総経過時間:17時間24分
平均パワー:127W 平均スピード:21.5km/h
消費カロリー:6,474kcal

たった一人きりなのでトラブルの対処や補給やペースのマネジメントでもっと苦労するかもと構えていましたが、思ってたより早く走り切ることができました。
伊豆イチは走力だけでなくありとあらゆる面での総合力が試されるコースだと思います。
今回は一人ということもあり、登坂中もFTPを越えないようパワーを制限していたためL2~L4下限ではしってたからか、西伊豆を越えても足が削りきられるということはありませんでした。
一方で後半に脂っぽい物を食べると後で後悔するという学びもあったり。次回は食べ物にも気を付けよう。
獲得標高・距離ともに難易度が高く、まともに一周するとなると深夜スタートになってしまうほどには難易度の高いコースですが、冒険感に溢れ、景勝や美食に溢れる素晴らしいコースです。
今回は季節的にも比較的走りやすい部類で、天候にも恵まれ自身の成長も実感しつつ終えることができて楽しむことができました。
今度はグループで観光・グルメメインで走りたいですw